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09:32:23
 このお話を初めから読む↓
 帰還(めざめ)
 続きからどうぞ。

 少女に案内されながら、今総也がいる場所について解説を受けた。
 ここはエラー砂漠。広いデジタルワールドの中で忘れられてしまった部分が、長い年月を経て砂漠化した姿らしい。
「最近はデータの砂漠化がひどいのよ。あんなに広かったデジタルワールドも、今はどんどん砂漠になっているの」
「そうなのか……」
「ええ。誰の目につかなくなった、忘れ去られたデータから、少しずつ滅んでいく。今のデジタルワールドはそういう状態……」
 すっかり伸びてしまったガジモンを背負いながら、総也はその話に耳を傾けていた。
 少女に連れてこられたのは、ごく普通の横穴だった。
 しかしそこにはたくさんのパソコンが並び、コードがあちらこちらに散乱している。
「そんなかたくならなくていいわよ。わたしは兎丸遙。で、こっちがわたしのパートナーのディアナモン」
 その少女は柔和な笑顔を見せる。さっきまでの戦闘で見せていた真剣な表情とは全く違うものだった。そしてディアナモンの方はというと、いまいち表情を読むことができなかった。しかし、あまり総也たちを歓迎している様子ではない。
「俺は神谷総也。で、この伸びているのがガジモン」
「ん……ぅ。くっ、はっ!」
 背負っていたガジモンの鼻を押してやると、ガジモンがぴくりと目覚めた。
「な、なにここ? あんた誰? 敵? だったら、容赦しないわよ……っ!」
「ぅわぁっ! ガジモン、背中で暴れるな。それにこの人たちは敵じゃない。俺たちを助けてくれたんだっ!」
 暴れるガジモンに耐えられず、総也はそのまま尻もちをつく。
「ぇ……っ。あ、そうなの?」
 そんな総也からするりと抜けてファイティングポーズをとっていたガジモンは、きょとんとした顔で総也と遙達の顔を交互に見る。
「おまえは、あっさりスカルバルキモンに弾かれて、ずっと伸びていたんだよ」
「そ、そうなの……」
 ガジモンは面目なさそうにうつむいた。
「そうよ。まあ、そんなことよりも本題に移るわね。あなた、タイプツーの来訪者でしょ? 現実世界に戻る方法を探していたんじゃない?」
「た、タイプツー?」
 初めて聞く言葉に、総也は聞き返す。
「ああ、知らないわよね。えっと……」
 遙の説明をかいつまむと、このデジタルワールドにやってくる人間には二通りあり、一つは存在がそのままデジタルワールドにやってくる「タイプワン」そしてもう一つとは感覚や意識だけがこちらにやってくる「タイプツー」である。
「……というわけで、わたしはそんなタイプツーの来訪者を無事にもとの世界に帰してやることを仕事にしているわけ。ちなみにわたしは、肉体ごとこっちにきているから『タイプワン』ってことになるわ」
「そうなのか……」
 正直なところ、その来訪者云々の件はよくわからなかったが、
「つまり、遙にまかせれば、俺はもとの世界に戻れると……?」
 総也がたずねると、遙は「そういうこと」と言いながら、おもむろにデスクの上のハンマー(鉄製? ずっしり重たそう)をとりだしてにっこりと先ほどの笑顔を見せた。
「これで頭を軽くぶん殴るの。あなたの場合、言ってしまえば夢を見ているような状態だから、こっちの世界で死んじゃうくらいのもんのすごい刺激を与えれば、目を覚ますことができるわ」
 素振り。ぶぉんという音がする。
 これで殴られるのかと思うと、総也の顔はひきつった。
(おいおいマジかよ……)
 男は度胸なんていうが、自分から望んでハンマーで殴られにいくようなやつはいないだろう。できれば別な方法をお願いしたいところだ。そんな半分死んでしまうような方法なんて御免被りたい。だが、そんな願いが相手方に通じるはずもなく。
「んじゃ、ガツンといくよ」
「ちょ、ちょっとまって!」
 いざ、とハンマーを振りかぶる遙を止めたのは、ガジモンだった。
「ねえ、総也が現実世界に帰ったら、あたしはどうなるの?」
「そうねぇ。また彼がデジタルワールドに来るまで待つことになるかしら? 大丈夫、生き残っていればまた必ず会えるわ」
「総也は、それでいいの?」
 振り向くガジモンの顔はなにやら悲しげで、総也に訴えるものがあった。
「総也は、これからもあのデジモンを探すんでしょ? だったら、あたし、ずっと総也についていた方がいいと思うの!」
「あのデジモン?」
 首をかしげる遙に、総也はこれまでの旅のいきさつを説明した。
「なるほど。デジモンを探していたのね。でも、あなたのパートナーはガジモンよ?」
「パートナーっていうわけじゃないんだ。でも、俺を待っている存在が、サイバー空間のどこかにいるんだよ」
「あそう。そうねぇ、じゃあ、この子連れてく? 現実世界でデジモンを扱うと、いろいろな制約がかかっちゃうけれど」
「……別にいいわよね。総也?」
「あ、ああ……」
 積極的に現実世界行きを望むガジモンに、総也は少し違和感を覚えた。しかし、デジモンと近くにいることができれば、おのずと自分の探している存在に近づくことができるかもしれない。そう思って、総也はガジモンとともにいることを選んだ。
「あたしは反対だ」
 遙の後ろから、ディアナモンが口を開いた。
「最近のテイマーは成熟期をパートナーにするのが一般的だ。それなのに成長期デジモンなんて、危険すぎる。まともに戦えない」
「ちょっと、なによそれ! まるであたしが役立たずみたいな言い方じゃない!」
「そう言ったんだ。デジモンの元にデジモンは現れる。さっきみたいに、無茶苦茶につっこんで自滅なんかされては迷惑だ。今回のように、誰かが都合よく助けてくれるとは限らないんだぞ」
 ディアナモンの言ったとおりだった。ガジモンは返す言葉が見つからない。
「おまえもだ、総也。デジモンは危険な生き物だ。その気になれば、現実世界なんて簡単に滅ぼすことができる。おまえに、そんな力と向かい合う覚悟はあるのか……?」
 そのディアナモンのまっすぐな瞳に、総也は息をのんだ。
 確かに、これまでの旅で危険な目に何度もあった。相手はガジモンと同じ成長期のデジモンだったが、しかし、炎を吐いたり氷を飛ばしたりなんて、そんなものが現実世界に氾濫したらパニックになってしまう。
 しかし、総也はうなずいた。
「俺は、できます。俺は、俺を待っている存在に会いたい。それが何者かはわからないけれど、会ってお礼を言いたい。あのとき助けてくれてありがとうって。そのためにガジモンの力が必要になると思う」
 総也はまっすぐに見返してやった。
 ガジモンも総也の隣にやってきて、真剣な面持ちで立っている。
「あたしも強くなる。総也を守れるくらいに強く……っ!」
 それを聞いて、
「……だってさ。ディアナモン、意地悪はそれくらいにしてあげたら?」
 遙が割って入る。
「遙。あたしは別にいじめているわけじゃ……」
 張り詰めた緊張の糸を切られて、反論するディアナモンを遮って、
「総也君の意気込みは伝わったよ。でさ、これ地図。あとで現実世界にこの地図とデジヴァイス、あとガジモンを送るから、戻ったら必ず行ってね。行かないとガジモン、死んじゃうから」
「えっ、ちょ、ちょっと。いま、さらりと重要なことを……」
「いっくよーっ!」
 そうして遙は、いよいよとハンマーを振りかぶった。
「あ、ちょっと、やっぱりそうするの……?」
「きまりですか……らっ!」
 そこで総也の意識は途切れた。


「……不思議ね」
 そのとき呟いた遙の言葉に、ディアナモンは敏感に反応した。
「どうした、遙?」
「ううん。ガジモンは気性が荒くて、絶対に懐かないデジモンの筆頭よ。そんなデジモンをパートナーにしちゃうなんて、あの総也って子、ただものじゃないと思って」
「確かに」
「ディアナモンも気になるでしょ?」
「……いや、別に」
「こら、そっぽ向かない」
 遙はディアナモンの顔に手をあてるとをくいっと自分の方を見るように向けた。
「ディアナモンは有望な子にしかきつく当たらないもんねー。それ以外はいつも無関心だしねー」
「か、からかうなっ! あたしは、その、心配で……」
「それ、本音?」
「うるさいっ! ほら、次の仕事だ。レーダーに反応が出たぞ!」
 ディアナモンは遙から離れた。
「あぁっ、ちょっと、また先に行かないでよ!」
 遙は傍にかけたマントをとると、ひらりとまとってディアナモンのあとを追った。

つづく


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