FC2ブログ
一人でできることは一人でやれ。みんなでやることはみんなにやらせろ。
2017/09«│ 2017/10| 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 »2017/11
文字サイズ文字サイズ:大文字サイズ:中文字サイズ:小
--:--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Category:スポンサー広告│ コメント:--│ トラックバック :--
09:41:14
 このお話を初めから読む↓
 帰還(めざめ)
 続きからどうぞ。

「いでっ!」
 ベッドから落ちてしまった。頭を床に打ち付ける。
 患部をさすりながらあたりを見渡す。そこは間違いなく自分の部屋だった。
(夢……だったのか?)
 しかし、その夢は、夢というにはあまりに生々しい。
 こんなにはっきり覚えているのだ。ただの夢だとは思えない。
 正夢とか、予知夢とか、そういった不思議な現象を総也は簡単に信じてしまうタイプだった。だから、
(ハンマーで殴られる……。夢占い的には、なんなんだろう……)
 占いのようなものにもかなりの関心を持っている。周りから女々しいなんて言われてしまうのも、おそらくそのせいだろう。
 そんなことを真剣に考えていた。しかしそろそろいつも通りの日常に戻らなければならない。休日だが、一度気になってしまった以上、総也はいてもたってもいられなかった。
 そんなとき、目の前に巨大な段ボール箱。
 宅配便かなにかだろうか? いや、ネット通販でなにかを頼んだ記憶はないし、誰かが総也に荷物を送るなんて、心当たりが全くない。
 そういえば夢の最後に、なにかを段ボールに詰めて転送するとか、そんなことを言われたような気がする。だが、夢は夢ではないのか?
 本当にこの中には、総也に関わるものが入っているのだろうか。
 総也は、段ボール箱をおもむろに持ち上げてみる。
 意外と重かった。中型犬、ないし大型犬くらいだろうか。次にゆすってみる。音がするということは、荷物はこれいっぱいに詰め込まれているのではないらしい。それにしてもその音は、物と物がぶつかるようなガタゴトした音でない。なにやらふさふさしているものがこすれているような音がするのだ。
(まさかな……)
 そのあて名のないダンボールに総也は思い切りパンチ。
「ふぎゃっ!」
 人の声?
 確かに、これくらいの箱ならば、小柄な人間ならば入るだろう。そんな話を聞いたことがある。手足を限界までたたんでうずくまれば……。
「……って。お、おい。大丈夫かよ」
 総也の表情が変わる。あわてて粘着テープをはいで、そのダンボールを開けた。もしこの中に、本当に人間が入っていたとしたら一大事だ。
 乱暴に開いてなかを確認。次に総也は驚いていた。その段ボールのなかから、ついさっきまで見ていた夢の中で一緒に旅をした生き物、ガジモンが総也のことを見上げていた。
「夢じゃ、なかったのか……」
 信じられない。まさか本当にガジモンが現実世界に送られてくるなんて。つまり、あの時見ていたのはただの夢ではなく、間違いなく、この自分自身が経験していたことなのだということになる。
「よ、ようこそ。ガジモン……」
「総也………………のバカぁっ!」
 急にガジモンは総也にとびかかる。
 殴る、蹴るの暴行の末、自分が中に入っていた段ボールを思い切り総也にぶつけた。
「ちょ、ガジモン、タンマ、タンマぁ……っ!」
「あたしが入っているのを知ってて、あんた思いっきり殴ったでしょ! 当たったわよ! ちょー痛かった! 痛かったんだからぁっ!」
「わるっ、そ、れは、謝る……。だが……っ!」
 そう、この家に住んでいるのはもちろん総也だけではないのである。
「うるさいわよ総也……って、あら?」
「げっ、母さん」
 母、神谷浩子にばっちり目撃されてしまった。
 総也と灰色の犬のようなウサギのような生物が口論になっているという光景を。
「そうや、それ……」
「あっ、こ、これ? ぬいぐるみ。さ、最近のぬいぐるみってすごいよな。インタラクティブ? 双方向会話機能っていうの? こう、俺が喋ったことに反応して、応答してくるの、な。ははは……」
「ちょっと、だぁれがぬいぐるみ……ふむぐぐぅ」
 総也はガジモンの口を必死にふさいだ。これでなんとかごまかせただろうか。冷や汗もので、総也は寿命が数年縮んだだろうということがわかった。
 さて、そんな苦しい言い訳を前に浩子はというと、
「そう。お母さんてっきりデジモンだと思っちゃったわ」
 なんて……。
「デ、デジモンって! 母さん、デジモンを知っているの!?」
 思いもよらない反応に、総也は耳を疑う。浩子は改めてうなずいた。
「そうよ。お母さんがまだ学生のころだもの、デジモンが話題になったのは」
「そう、なのか……」
 まさに灯台下暗しであった。
 夢の中、あんなに歩きまわっても見つからなかった手がかりを知っていそうな人間が、まさか自分の身内にいるだなんて。こんな超展開、誰が想像できただろうか。
「じゃあ、母さんなら、わかる? 俺の会ったデジモン」
 総也は、改めて自分が過去に体験した話を浩子にしてみる。
 しかし手がかりになりそうな情報は、やはり手に入らなかった。
「そのデジモンのことは知らないわ。デジモンは次々新種が発見されているから、もしかしたら総也が会ったのは、お母さんがデジタルワールドを旅していた時には存在しなかった新種のデジモンかもしれないわね」
「新種、か……」
「デジタルワールドの進歩は目まぐるしいわ。ほら、総也のデジヴァイスとお母さんのデジヴァイスはデザインが全然違うでしょ」
 そう言って取り出された浩子のデジヴァイス。それは総也のものに比べて厚く、機能もそれほど多くない、まるでデジモンを持ち運ぶためのケージ。そんな程度のものだった。
 さて、そんな浩子の視線がガジモンに向けられる。
「総也のパートナーってガジモンなんだ。これからよろしくね、ガジちゃん?」
「ガ、ガジちゃん!?」
 いきなりあだ名をつけられて、ガジモンは驚いているようだった。
 差し出された手。握手。ガジモンは少し照れくさそうにしていた。
「ねえ母さん。デジモンって現実世界だとなにを食べていた? やっぱりペットフードとか?」
 ペットフード、という言葉にガジモンが反応するが、ここはスルーする。
「なんでも食べるわよ。ねえ、ガジちゃんはなにが食べたい?」
「あ、あたしは、別になんでも……」
 言いよどむガジモンを見て、
「おいおい。デジタルワールドでは結構わがままだったじゃないか。どうしたんだよ、猫被っちゃって」
「被ってない! 余計なこと言うな!」
 口を出す総也の脇腹に、ガジモンの肘が刺さった。
「猫を被る、か……。進化したらテイルモン? ブラックテイルモンかしら?」
 浩子は嬉しそうに台所に戻っていった。


 つづく


コメント
コメントの投稿










トラックバック
トラックバックURL
→http://unrealgraffiti.blog20.fc2.com/tb.php/294-a87485f9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
FC2カウンター
ようこそ
人目の旅人様
プロフィール

誘宵

Author:誘宵
ものかきやってます。
こっちのブログはもう更新しないので、
新しいブログの方をよろしくお願いします。

カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。