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一人でできることは一人でやれ。みんなでやることはみんなにやらせろ。
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23:38:25
 久しぶりの更新。

キャラクター紹介はこちらから
            
*このお話を初めから読む↓
 Log.1 帰還(めざめ)
 Log.2 組織(だすと)
 Log.3 進化・前編(かつぼう)
 Log.4 進化・後編(たいぼう)
 Log.5 双竜(ぞうえん)
  
 続きからどうぞ。

 ダストの隊社でメイドとして働いている光希だ。そこでの炊事洗濯は彼女が行っている。とくに、天菜の食事については人一倍気を使っていた。
「天菜さんは、放っておくとすぐにインスタント食品に手を出しますから……。あ、大根がやすい」
 その日も、商店街へ晩ごはんの材料を買いにきていた。一通り買い物もすませたところで、光希はある場所へと向かっていた。
「どこいくの? 光希」
 デジヴァイスの中からテリアモンが訊ねた。
「いまですね、商店街で福引きをやっているんですよ。今日の買い物で券を一枚もらったので、早速挑戦してみましょう」
 と、意気揚々と福引きが行われているテントへと向かう光希。券を渡し、ハンドルを握る。がらがらと音を立ててドラムが回る。そして……。
 ……水色の玉がでてきた。
     
「というわけで、三等が当たりましたよ!」
 光希はその景品を取り出した。
「サカ、三等ってどれくらいすごいの?」
「三等っていうくらいだから、上から三番目じゃないの?」
 マツに訊ねられ、サカが答える。
「ふぅん。光希、何が当たったの?」
「ええっとですね……。の、農場……?」
 光希が当てた三等の景品というのは、大岩井農場という、農場とついてはいるが、いわゆるテーマパークへの招待券だった。
「遊園地なんですね」
「ややこしい名前だなぁ」
 紅蓮が指摘するのももっともだ。
「どうも、動物園と遊園地がくっついたような場所みたいだね。牛とか、馬とか。ウサギもいるみたいだよ!」
 大画面に映し出される農場のウェブサイト。緑豊かな草原に、申し訳程度にある観覧車など。牛舎や馬小屋などもあり、動物とふれあうこともできるようだ。とはいえ、動物のチョイスは「動物園」というよりは「牧場」である。
「ああこら、テリアモン、指令室のパソコンでネットサーフィンをするのはだめですよ! もうっ!」
 光希はすぐにテリアモンを抱えあげ、ブラウザを閉じた。
「別にそんなこと気にしなくてもいいのに」
 指令室に天菜が入ってきた。
「でも、いざっていうときに使えないと困るじゃないですか」
「そうだけど、光希は心配しすぎ。ところで、何の話をしていたんだい?」
「えと、福引きで遊園地の招待券が当たったので、今度の休みにでもみんなでいきませんか?」
「いいね。それじゃあ、三人で行ってきなよ」
「ええ~。天菜さんも一緒に行きましょうよ」
「僕はほら、ここから離れられないしね」
 あっさり断られ、不満の声を上げる光希だった。
 天菜は六番隊の隊長であり、索敵能力に非常に優れたサーチモンをパートナーにしている。できるだけ指令室に常駐し、クロスフォッグの発生に備えている。
 光希がこの屋敷で、住み込みでメイドをしているものそういった理由がある。
「となると、わたしと、紅蓮ちゃんと、総也くんとで行きましょうか。……天菜さん、本当にいいですか?」
「ああ、いっておいで」
「わたしがいなくなったからって、お菓子とか、カップラーメンとか、そういうのばかり食べちゃだめですよ。お昼はお弁当を作っておきますから、それを食べてくださいね」
「わ、わかったよ……」
 たじろぐ天菜にかまわず、念を押す光希だった。
    
「……で、いきなり牧場なんですね」
 総也は大岩井農場へと向かうバスの中にいた。この連絡がきたのが昨日の夜。出発は翌日という。電話口での光希の口調に、おもわず了解してしまったのだった。
 それにしても、半ば貸し切りのバスのなかは、かなりフリーダムな状況である。人間が三人、恐竜が二匹、獣が三匹。そしてそのデジモンたちは、外の景色を物珍しそうに眺めていた。
「うおーすげー。ブリンプモンより速ぇー」
「紅蓮ー。あのでっかい塔はなんだー……って、通り過ぎちゃった」
「サカもマツも少しは落ち着けよ。まったく、誰に似たんだ……ぉおっ、あんな建物いつの間にできたんだ?」
 デジモンと一緒に、紅蓮は窓に張り付いてはしゃいでいる。今まで零番隊で、デジタルワールドで活動していた紅蓮にとっては、現実世界の建物の方が珍しいらしい。
「デジタルワールドの建物ってどんなのだったっけ……」
 総也はぼんやりと自分がデジタルワールドを旅していた頃を思い出す。そういえば、森や砂漠ばかりで、建物がたくさんある、都市のようなところには立ち寄れていないような気がした。
(うーん。思い出せないな……)
 総也の、デジタルワールドにいた頃の記憶は日が経つにつれてどんどん曖昧になっている。ハンマーで殴られるという衝撃的な帰還のさせられ方をしたのだから、当然かもしれない。
「総也くん、どうしました? 車酔いですか?」
「いや、ちょっとデジタルワールドのことを思い出そうとして、なかなか思い出せなくて」
「なんだ、おまえデジタルワールドに興味あるのか?」
 後ろの座席から紅蓮が顔をのぞかせてきた。
「そういうわけじゃないけど、いつかはまた行かないといけないんだろうな……」
「どういうことだよ?」
「俺はデジモンを探しているんだ。俺が子供の頃、助けてくれたデジモン。そいつに俺は……」
 ……なんと言われたのだったか。
 総也はそれが思い出せなくなっていた。
 あれほど鮮明に刻み込まれていたはずの記憶なのに、急にその部分がすっぽりとぬけ落ちてしまっている。光景はしっかりと思い出せる。人型だった生命体に助けられ、それが振り返り、なにか口元を動かしている。しかしその部分はミュートになってしまっていた。
「どうした? 総也?」
「……いや、なんでもない。ど忘れしたみたいだ」
「おいおい、おまえまだ若いんだからしっかりしろよ」
「紅蓮だって同い年じゃないか」
 その場は笑ってごまかした。しかし、自分の中でデジタルワールドに、そしてデジモンに関する記憶が消えていっていることに、一抹の不安を感じずにはいられなかった。
「うわぁ、マツ! 紅蓮! 見えてきたよ!」
 食い入るように外を眺めていたサカが声を上げた。目的地が見えてきたらしい。まもなくして、総也ら一行は大岩井農場に到着した。
「「わーぃ」」
 はしゃぎながらバスから降りようとするテリアモンとサカを光希と紅蓮はそれぞれのデジヴァイスに格納する。一般人にはデジモンの姿が見えないとはいえ、あまり目立つ行動をさせるわけには行かない。デジヴァイスの画面の中で、不満そうな顔をしている二匹であった。
 バスから降りた一行だったが、それにしても閑散としている。高原らしい澄んだ空気に遮るもののない広い空。入り口の門を抜ければ、そこは芝生の広場だった。
「やっぱり、牧場だったな」
 紅蓮がつぶやく。
 広大な敷地を適度に区切る柵の中には、ウシやらヤギやらヒツジやらが入っている。
 それにしても人が少ない。にぎわいがない。職員や飼育係はちらほらと見受けられるが、客としてきているのは今のところ総也と紅蓮と光希だけのようだ。
 アミューズメント施設としてはすっかり廃れてしまっているというのは、誰がみても明らかだった。
「ねー、そろそろいーでしょー!」
 総也のデジヴァイスが振動する。
「こらミケモン……」
「外がどうなってるか気になるのよ!」
 しかたなしに総也はデジヴァイスからミケモンを出す。
 目の前に広がる、想像とかけ離れた光景を前に、ミケモンは空いた口がふさがらないのだった。
「光希! 話が違う!」
「すみません。でも、せっかく来たんですから、動物と触れ合うとか、しませんか?」
「そうだな。せっかくの休暇なわけだし。楽しんでおくか」
 ミケモンをなだめる光希に、紅蓮も賛同する。
「だってさ、ミケモン」
「うう。仕方がないわね……」
 納得いかない様子だったが、ミケモンは定位置、総也の頭の上へと乗ったのだった。
   
 つづく


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